2025年1月26日日曜日

旅する無職 7日目 志布志~大阪~東京

 志布志の駅前で僕を乗せたタクシーは、駅を背にして走り出した。
 いつも列車にばかり乗っている人間が、盲腸線の終着駅を背にして、線路のない方向に進む。ともすれば、何かやってはいけないことをしているというか、いささかの心細そさと後ろめたさの両方とを感じる。このまま進んでいいのだろうかと不安にもなる。

2024年8月12日月曜日

旅する無職 6日目 宮崎~志布志

 長旅で疲れているので、ゆっくり寝たいと思って床に就いたが、働いていた頃の嫌な雰囲気の夢にうなされて、朝の4時ぐらいに目が覚めてしまう。
 月曜の夜から一週間近くも遮二無二列車に乗ってきたので、たまにはゆっくりしたいと思うものの、これがなかなかうまくいかない。そういえば今日は日曜である。無職にも休みは必要だと自分に言い聞かせ、二度寝をする。

2022年12月4日日曜日

旅する無職 5日目 小倉~日田~豊後森~大分~延岡~宮崎

 目が覚めると7時40分であった。7時ちょうどに起きるはずが、40分の寝坊である。旅も5日目に入るとさすがに疲れがたまってきて、ついつい宿の寝床で惰眠をむさぼるようになる。
 ホテルを予約するとき、朝食付きでお願いしていたが、食堂で過ごすべき40分をベッドの上で過ごしてしまったので、何も食べずに外に出る。

2022年3月21日月曜日

旅する無職 4日目 鹿児島~都城~吉松~人吉~熊本~博多~門司港

 長い旅を計画すると、どうしても1日ぐらいは旅程の出来栄えの悪い日が出てくる。何度検討しても乗り継ぎが悪かったり、おもしろい経路や列車が見いだせない、中だるみのような日である。
 この旅では、今日が出来栄えの悪い日だと思う。
 今日は2016年4月8日。手元に書き留めてきた旅程の「4月8日」のところを見ると、その半分ぐらいは昨日通ってきたルートをさかのぼることになっている。都城から吉松を走る吉都(きっと)線に17年ぶりに乗れるのが、数少ない楽しみである。

2022年3月20日日曜日

旅する無職 3日目 博多~八代~人吉~隼人~鹿児島

 明け方見た夢が「実家に置いてある古い時刻表が、いつの間にか勝手に古本屋に売り出される」という内容で、まったくもって寝た気がしない一夜であった。