例えばの話であるが、東京から大阪に行くのに、新潟や長野を通る行程を組む人はそういないと思う。
心理学的に何というのかわからないが、人というものは、近道があればそこを通りたいという習性がある。用事もないのにわざわざ遠い経路を経る意味が見いだせない。普通はそうであろう。
人が遠回りを肯ずることができる唯一の状況は、旅ではないかと思う。
日頃、気ぜわしい移動ばかりをしていると、せめて旅の中だけでも遠回りをしたくなるし、旅程の端々にいろいろな目的を詰め込むと、自然と遠回りせざるを得なくなる。
旅の本質とは、遠回りと寄り道にあると思う。今回は、拙宅のある埼玉から大阪を目指して、本州をじぐざぐに旅をしてみることにした。