2020年8月27日木曜日

旅する無職 0日目 ~序文~

 旅は、日常との対比であるからおもしろいのだと思う。
 我が国には、古くからケとハレという概念もあるし、旅の恥は掻き捨てという言葉もある。鬱屈とした日常の刻苦を旅で晴らす。知らない土地を訪ねて、自分の置かれた日常と比較してみて新たな知見を得る。だからこそ旅はおもしろいし、何度出かけても飽きることがない。

2020年8月1日土曜日

はやく妖怪になりたい(2020年2月 境線)

 木次線を乗り終えた僕は、松江で一畑電車に寄り道をして、出雲市から山陰本線のディーゼル鈍行で米子駅にやってきた。
 列車から降りた僕を、「4番のりば」と書かれた古めかしいアンドン看板が迎えてくれる。時刻は18時。日の落ちかけた米子駅のホームは、思ったよりも寒い。